kabuchantanのブログ

八王子中心の食べ歩きブログです。主にラーメンのブログが多いですが、食べ歩き以外にも本や映画、雑記などの記事も書いています。

【読書】その虐殺は皆で見なかったことにした【ノンフィクション】


トルコの南東アナトリア地方に位置するジズレ地区で、 実際に起きたトルコ軍によるクルド人の大量虐殺を取り上げた本作。

正直、トルコとクルド人の間でどのような問題が起きているのか、 私はあまり詳しくはないし、この本を一度読んだだけでは理解できなかったので、 また別の本を読んで理解を深めたいと思う。

ジズレ地区で何が起きたのか……。

そもそもクルド人とはどのような民族なのか。 3000万人いるとも言われるクルド人。 彼らはトルコ、シリア、イラク、イランにまたがって生活をし、 「国を持たない最大の民族」と呼ばれている。

1980年代にクルド人はトルコからの分離独立をめざし、 武装闘争を行うが、失敗。 これにより4万人の死者が出ることになる。

これによりトルコは「トルコを割ってクルドの国を作ろうとしている」「クルド人はトルコを脅かすテロリスト集団」 と警戒心を強めることになる。 (しかし、トルコとクルド人との問題は私の理解があやふやなので各自で調べてほしい)。

2015年9月、トルコ防衛軍はクルド人が多く住むジズレ地区を封鎖。 戒厳令を敷かれることで、クルド人の人々は外に出ることも許されず、 食べ物、水もないなか家の中に閉じ込められることになる。

ジズレ地区を封鎖したトルコ防衛軍は、8日間にわたりジズレ地区を包囲する。 飢えと渇きに苦しむクルド人に「投降しろ!」と呼びかける。 だが、白旗をあげて出てきた一般市民を、それが例え小さい子であろうが、年配の女性だろうが、 建物の上で待ち受けているスナイパーが撃ち殺す。 それだけでなく戦車で街を破壊する。 (しかし、この事件で殺されているのはクルド人の兵隊ではなく、一般市民である。 つまり、見せしめとしてトルコ防衛軍は、クルドの一般市民を逆したのだ)

戦争に備えて、自宅に地下を持っていたクルド人はその地下に逃げ込むことになる。 ――ところが、これがこの本を読んでいて一番衝撃的だったのだが、 トルコ防衛軍は地下にガソリンの入った瓶を投げ、クルド人を生きたまま焼き殺した……。 (トルコに住んでいるクルド人を自軍のトルコ軍が虐殺したということになる)。

「ジズレ包囲戦」と呼ばれるこの事件の様子はインターネットによって、 クルドの人々がトルコ防衛軍から攻撃を受けている間もメディアに流される。 だが、諸外国はトルコとの利害を恐れ、誰も助けの手を差し伸べない……

というのがこの本の内容なのだが、あまりに重い事実に、 読み進めるのに時間がかかった。 この21世紀、どれほど情報が流れて、人々の助けの声、悲惨な様子を知ることが出来ても、 それを助ける力を我々は持たないし、国際社会が助けることもない。

どうして人間は人間に対して残酷なことができるのか……。 この本の命題の一つでもあるし、それは昔から人類が抱いてきた疑問とも言える。 その命題を突きつけるような本作は、世界の不条理を私たち読者一人一人に呼びかけるだろう。

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